映画「王様のためのホログラム」(原題:A Hologram for the King)
見知らぬ土地、サウジアラビアで中年おやじが徐々に生きる活力を取り戻していく姿を描いたヒューマンドラマ。トム・ハンクス扮するアラン・クレイに感情移入できれば良作。できなければ消化不良になるだろう映画。良くも悪くもトム・ハンクスを楽しむ為だけの映画である。
ストーリー
トム・ハンクスが「クラウド アトラス」のトム・ティクバ監督と再タッグを組んだ主演作。「驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記」や小説版「かいじゅうたちのいるところ」で知られる人気作家デイブ・エガースの小説を原作に、エリート人生から転落した主人公が、サウジアラビアの国王に最先端の映像装置「3Dホログラム」をプレゼンするために奮闘するさまを描いた。大手自転車メーカーの取締役だったアランは、業績悪化の責任を問われて会社を解任され、全てを失う。娘の養育費を払うためにIT業界に転職し、一発逆転をかけてサウジアラビアの国王に3Dホログラムを売りに行くが、到着した現地のオフィスは砂漠に立てられたテントで、Wi-Fiもつながらない。さらに、プレゼン相手の国王にはいつ会えるのかもわからず……。
(引用元:映画.com)
登場人物
アラン・クレイ(トム・ハンクス)
元・大手自転車メーカーの取締役であったアランは会社の業績の悪化に伴い解任される。更には財産も差し押さえられ、妻と離婚し、娘とも離ればなれになってしまう。「サウジアラビアの甥と知り合いだから」という理由でITの営業職へと採用されるが、実際は過去に一瞬話した事がある程度。しかし、その理由からサウジアラビアの国王に3Dホログラムを使ったテレビ会議システムを売り込む為に同国に派遣される。娘の大学資金を稼ぐ為に覚悟を決めるが・・・
ユセフ(アレクサンダー・ブラック)
現地サウジアラビアでアランの運転手兼ガイド役を務めるユセフ。陽気な性格で人懐っこい男である。
ザーラ・ハキム(サリタ・チョウドリー)
本作のヒロイン役で現地サウジアラビアの女医。
感想(ネタバレなし)
この作品は、様々なものを抱えている主人公アラン・クレイの心の機微にフォーカスしている為、他の登場人物も全てアラン目線で描かれており、ほとんど空気状態である(それで映画1本成立してしまうのがトム・ハンクスの凄いところなのだが・・・)。正直ストーリー的にもあって無いようなもので「そこそんなに簡単に解決するの?」とか「そこで事件起こらんのかい!」とか、個人的にはツッコミどころが多かったが、不思議な事に観て損をしたとは思わない。それは映画全体に流れるゆったりした空気感なのか、はたまたトム・ハンクスがアラン・クレイという中年おやじの心の機微を上手く演じきっていたからなのか、ヒロイン役のサリタ・チョウドリーが妙にハマっていたからなのか・・・。決して派手で夢のある映画ではないが、中年おやじは漠然と憧れるんじゃないだろうか。
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